医師で糖質制限食の第一人者の江部康二先生が、大豆や健康、漢方などのお話をお届け。

・・・ドクター江部のプロフィール・・・

江部康二

江部康二(えべ こうじ)

医師、財団法人高雄病院理事長。京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て1978年より高雄病院に勤務。
2001年、受け持っていた糖尿病患者に糖質制限食を取り入れ、患者の血糖値が劇的に改善。これを機に病院をあげて糖質制限食による糖尿病治療の研究に取り組む。
2002年、自身の糖尿病が発覚。以来、自らも糖質制限食を実践、糖質制限食による糖尿病治療を確立。自身の糖尿病の克服のみならず、高雄病院での臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリックシンドローム等に対する糖質制限食の画期的治療効果を証明する。多くの著名人からも絶大な支持を受け、芥川賞作家、宮本輝氏との対談本、「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」は、各界に大反響を巻き起こした。
【近著】
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』(ナツメ社)
『糖尿病・肥満を克服する高雄病院の「糖質制限」給食』など。

第7回 脂質は実は体に悪くなかったというお話

前回、なぜ糖質制限食で大豆を推奨するのかを書きました。
大豆は、豆類の中でも糖質の含有量が少く、血糖値に影響を与えにくいためです。
読者の皆さん、ここで疑問が出て来ませんか?
栄養成分のうち糖質が少ないということは、残りの栄養素はなんだろう?と。
そう、残りの栄養素で主要なものは、タンパク質と脂質です。

私が愛用している「スーパー発芽大豆」の栄養成分を見てみると、
1袋あたりの糖質は3.0gですが、タンパク質7.8g、脂質は4.9gとなっています。

大豆はヘルシーなイメージがあるので、脂質が少ないように思われがちですが、
意外なことに重量の約10%近い脂質が含まれているのです。
脂質と聞くと「太る」や「ダイエットの敵」はたまた「体に悪い」と思われている方が大多数だと思います。
過去の常識として、日本でも欧米でも心臓病、糖尿病、
肥満・メタボリックシンドローム、癌などの元凶として、脂質が犯人とされてきました。

ところが、米国の大規模介入試験(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において、
脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して
心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。

つまり、野菜タップリで脂質を減らした、いわゆる「ヘルシー食」が、実はヘルシーでもなんでも無かったのです。
巨額のお金と多大な時間を投入した第一級の疫学研究で、
従来ヘルシーと信じられてきた「低脂質食」が全く無意味と証明されたようなものですから、
医学界にも一般の人にも大きなサプライズだったと思います。

江部先生さらに米国の主要栄養素の摂取傾向を調べてみると、総脂肪由来キロカロリーの占める割合は1971年 (36.9% )→2000年(32.8%)と減少しています。にも関わらず、成人の肥満率は1971年(14.5%)→2000年(30.9%)と倍増しています。
また、米国の糖尿病も、1995年の患者数は800万人なのに2005年度の糖尿病有病数は2080万人で、全人口に対する有病率は7%と推定されています。
即ち、脂質の摂取率は減少しているのに糖尿病は10年間で約2.5倍と激増しています。

これまで言われて来たように、脂質が肥満や糖尿病の原因であれば、摂取率が下がれば肥満率も糖尿病の有病率も下がる筈ですよね。
ところが、下がるどころか両方とも倍以上増えているのは、普通に考えてオカシイと思いませんか?

では、なぜ肥満・糖尿病が増えたのでしょう。
もう一度主要栄養素の摂取傾向を見てみると、この間増加したのは糖質の摂取比率で、
1971年(42.4%)→2000年(49.0%)と6.6%の増加となっています。
つまり、糖質の摂取が6.6%増えただけで肥満率が倍増、糖尿病有病率が2.5倍増になった、
過去の常識だった「脂肪犯人説」はかなり怪しく、糖質の過剰摂取こそが肥満を含め生活習慣病の真犯人だった可能性が高いと言えるでしょう。

本来、脂質はホルモンや細胞膜の原料となる大切な栄養素です。
ですから、過去の根拠のない「常識」にとらわれて脂質を避けるのではなく、
「スーパー発芽大豆」など良質の大豆製品でしっかり摂取してくださいね。



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