日本の耕地面積は4,372,000haで、そのうち有機圃場は14,136haと、全体の0.32%しかありません。
(農林水産省-「国内における有機JASほ場の面積(令和3年4月現在)より)
こと大豆だけに目を向けると日本で消費されている大豆は349万8千tですが、国産有機大豆は1305tしかなく、全体の0.04%にとどまっておりより悲惨です。(農林水産省「食料自給率の推移」「大豆をめぐる事情」「有機農産物の格付け実績」より(R2年6月時点情報))
世界に目を向けると、全世界の全耕地面積に対する有機取組面積の割合は1.4%(2017年)あると言われています。(農林水産省-「 有機農業をめぐる事情(令和元年8月)より)
もちろん国によってばらつきはあるものの、世界平均と比べるとギャップがあります。特に先進国の中だけでみても、日本はかなり遅れており日本はオーガニック発展途上国です。現在、農水省でもこのギャップを埋めるために、制度的な改革を進めているところです。
私たちにできることは何かないのでしょうか?
日本で有機が増えない理由として挙げられることの1つは、新たに有機栽培にチャレンジする農家さんがなかなか増えていない、ということです。これは日本の有機JAS認証制度が諸外国と比べても非常に厳格で「有機栽培と謳えるまで数年かかってしまう」というルールが大きな壁となり、新規で有機栽培をやりたくても農作物の販売先を探すのが難しいためハードルが高いためと言われています。耕作地で適切な有機的管理を行っていても有機JAS認証がおりるまでの農産物は「転換期間中有機農産物」と呼ばれ、転換期間中有機農作物の栽培には、有機農作物と同じだけ手間がかかりますが、その販売先は有機農作物より狭く厳しいものとなります。
有機的管理を始めてみたが、丹精込めて栽培した野菜が無駄になってしまうのではないか、というリスクが、新たに有機栽培にチャレンジしてみたい農家さんにとって非常に大きなハードルとなっています。
私たちは上記であげたような農家さんのリスクを少しでも解消できるように、播種前契約(種をまく前から購入をお約束すること)を基本としています。こうすることで、農家さんが有機栽培に飛び込むリスクを最小化でき、有機栽培に挑戦してくれる農家さんが少しでも増えてくれるのではないか、と考えています。
2022年度は、通常の有機JAS認証大豆の他に、23トンの転換期間中有機大豆を購入することができました。転換期間中の農地が増えることは、数年後の有機栽培の農地が増えることになります。つまり、今転換期間中農作物を作ることが、そのまま将来の有機JAS認証の農作物、ひいては有機大豆を増やすことにつながるのです。
有機への参入の大きなハードルになっている「転換期間中農産物」を安定的に、適正価格で購入する先がもっと増えれば有機を作ってみても良いかな、と思う農家さんは絶対に増えるはずです。実際にここ数年は私たちにも、農家さんから同様の相談が多くありました。すべての農作物は難しくても、大豆だけでも、この問題の解決の糸口になりたい。なかなか買い手がつかなかった「転換期間中有機大豆」を適正価格で安定的に農家さんから買い取り、美味しくお手頃な価格で使える「蒸し大豆」にする。
美味しいから毎日使っても良いかなというお客様が増えれば、年間で契約できる農家さんをもっと増やせる。そうすれば、少しずつでも新たに有機にチャレンジしても良いかなと思ってもらえる農家さんを増やしていけるはずです。
上記の転換期間中大豆をどのような形でお届けするのがベストなのか考えた結果、食べきりサイズの蒸し大豆を作ることにしました。
私たちは普段100g入りの有機蒸し大豆をお届けしておりますが、お客様からは量が多い、食べきりサイズの商品がほしい、というご要望も多くいただいておりました。食べきりサイズ40gであれば、お料理に使用するだけでなく、持ち運びができ食物繊維や大豆の栄養を手軽にチャージできるヘルシースナックとしても食べていただけます。
この商品1袋(40g×5)をあなたが食べていただけると、それによって約一辺69㎝角の畑が来年以降、新たに有機畑として広がることになります。あなたが転換期間中大豆を日常のおやつとして食べてくれることが、日本の有機農家さんへの何よりもの応援になるのです。